例えば、2歳で言葉が出ない、単語も言わないお子さんを仮定したとき、下記の機能のうち、どれが影響するのかを考えてみます。
- 聴覚的把持力
- 音韻認識
- シンボル機能
- 概念形成
- 言葉の音の想起
- 構音運動企画
- 構音運動
お子さんのイメージ
お母さんやST(言語聴覚士)と目が合いにくい。好きなものは指さすが、大人が指さしたものに注目しない。
声を出すことはあるが、意味のある単語になっていない。
苦手な機能を考える
大人と目が合いにくい、大人が指さしたものに注目しにくいことが原因で、聞いて理解するための4つの機能がすべて未熟である可能性があります。
大人が指さしたものに注目しにくい、ということは、三項関係や共同注意(共同注視ともいいます)が獲得できていません。三項関係が獲得できていないと、相手が何についてその言葉を言っているのか気づきません。
※三項関係や共同注意については、他のサイトでも説明があるので検索してみてください。
またその場合、言葉を言っていること自体にも気づかず、言葉に注意しないため、音声を聞きとるための聴覚的把持力や音韻認識も育ちません。
訓練の例
お子さんが大人に注目できるような支援をします。
2歳で単語を話さない子どもの言語訓練で書いた、手遊び歌をやったり、お子さんが興味を引くような遊びをやりながら、大人に注目させたりします。
生まれつき聴覚的把持力や音韻認識が育ちにくいお子さんもいます。
そのため、最初は単語を聞かせるよりも、「ワンワン(犬)」「パオーン(象)」「ブーブー(車)」などのオノマトペ(擬声語、擬態語)を聞かせるとよいです。
また、視覚的認知機能を使って、見ることで物やジェスチャや絵カードを認識し、シンボル機能や概念形成を育てることもできます。
絵カード交換コミュニケーションシステム(PECS)を取り入れるお子さんもいます。
ただし、PECSを取り入れる場合にも、大人に注目できることが大事になります。
(聴覚把持力や音韻認知などの)聴覚的認知機能と視覚的認知機能のどちらか、もしくは両方を使って、シンボル機能と概念形成を育てていきます。
ヘレンケラーは、目も見えず、耳も聞こえなかったため、触覚を使ってシンボル機能と概念形成を獲得しました。
しかし発達に障害のあるお子さんの場合、触覚など身体の感覚にも問題を抱えていることもあるので、それも概念形成に影響を与えている場合もあります。
発語がないお子さんの訓練に役立つ本 2歳位のお子さんの訓練 2歳で単語を話さない子どもの言語訓練