例えば、3歳で発話が不明瞭なお子さんを仮定したとき、
- 聴覚的把持力
- 音韻認識
- シンボル機能
- 概念形成
- 言葉の音の想起
- 構音運動企画
- 構音運動
のうち、どれが影響するのか考えてみます。
お子さんの例
年齢3歳、初対面でもST(言語聴覚士)に挨拶してくれる。絵本を見せながら、STが言った動物名や果物名に合った絵を指さしで教えてくれる。発話は短い単語なら相手に伝わることもあるが、長い単語や文で話すと伝わらず、保護者が通訳してくれたり、保護者も意味がわからない時もある。
苦手な機能を考える
単語を聞きとるだけの聴覚的把持力と音韻認識は保たれていそうだが、不十分の可能性もある。
言われた単語を指させるので、シンボル機能は保たれ、動物や果物の概念形成は取得している。
話す機能に関しては、言葉の音の想起の際に、音を一つ一つ並べる音韻認識が未熟かもしれない。
構音運動企画と構音運動も未熟かもしれない。
訓練の例
音韻認識に対して
単語を大まかに聞き取る力はあるけれど、細かく音の違いには気づいていないかもしれない。
例えば、「いか」と「しか」の区別、「あり」と「あし」の区別など。
そこで、音が似ている単語で、音の聞き取り訓練を行う。
2つの絵カードを並べてSTが言った方をとってもらう。
カードを1つだけおいて、STが言った言葉が正しいか間違っているかマルかバツかで答えてもらう、など。
最初は2文字単語から。徐々に、3文字単語(「かえる」「からす」等)、4文字単語(「えんとつ」「えんぴつ」等)と増やしていく。
聴覚的把持力も未熟であることも多いので、単語を続けて2つ、3つ聞き取る練習もやってみたい。
構音運動企画に対して
STの真似をしながら、口を開けたり、舌を左右や上下に動かす運動をしてみる。
舌を動かすときは、舌の方向と一緒に頭も動いてしまう子どももいるので、頭は動かさず、舌だけ動かせるかなどに注意する。
構音運動に対して
舌の筋力がついているかチェック! 食事でしっかり噛んだり、飴をなめ続ける練習をしてみる(飴をなめ続けられず、すぐに噛んでしまう子どももいるので)。
STが1から100まで数える間、舌を出したままにする練習(これ、お子さんにとっては結構疲れます)。
1つの音を正しく発音する訓練を行う。子音が難しいなら母音から。復唱で。徐々に、2音の単語、3音の単語に増やしていく。