療育に来られるお子さんの中には、触られるのを嫌がる、幼稚園の制服が着られない、ボールプールに怖くて入れない、手づかみで食事ができない等、感覚過敏があるお子さんが度々いらっしゃいます。
私は感覚過敏に対応することは、言葉を獲得するための言語訓練の観点からも重要であると考えます。
感覚過敏にはどのようなものがあるのか、どうしてそれが言語に影響するのか、少し書いてみようと思います。
感覚過敏がどうして起こるのか。それは、感覚器もしくはそれを司る脳の発達が遅れているからだと考えます。ですので、療育では感覚器や脳を発達させる訓練を行っていきます。
【聴覚過敏】
人が集まる少し騒がしい場所を嫌がる、ある音を聞くと耳を塞いでしまう等の症状がみられます。
【聴覚過敏がどう言語に影響するのか?】
嫌いな音が気になって、言葉を認識しにくいと考えます。重度の場合だと、音は聞こえているけれど、人の声だと認識できていない可能性があります。
【聴覚過敏に対する訓練の例】
耳を育てる必要があります。
(小さなお子さんの場合)お子さん自身が発した音は聴くことができる場合が多いので、自分で楽器を叩いたり、鳴らしたりするのがいいと思います。ただし、お子さんによっては自分で鳴らした笛の音等を嫌がる場合もありますので、その時は好きな音を使って、それらを聴き分ける練習をするのもいいと思います。リコーダーは嫌がったけれど、汽笛の音がする笛は好んで吹くお子さんに以前お会いしたことがありました。
(就学前後のお子さんの場合)
静かな場所で、ことばを聞き取る訓練もいいと思います。
また、音とは直接関係ありませんが、耳を育てるという意味では、揺れや重力を感知する三半規管が弱いこともあるのでそれらを育てることも有効だと思います。三半規管を育てるためには、トランポリンやシーツブランコ、公園のブランコも有効だと思います。
【触覚過敏】
スプーンが口につくのを嫌がる、おしゃぶりが外せない、指しゃぶりをする、粘土やスライムなど触れない素材がある。
【触覚過敏がどう言語に影響するのか?】
物を操作する機会が減ると思います。物を操作することは概念形成、認知発達に影響すると考えます。
口腔に過敏がある場合は、舌を唇につけることが嫌だったり、口を動かすことが苦手である可能性が高いです。
背中や腕など体全体に触覚過敏があると、不安や恐怖を感じやすいとも言われています。そのため人を避けてしまい、人と関わることを避けてしまうことも考えられます。
【触覚過敏に対する訓練の例】
粘土やスライム遊び、新聞ちぎり、色々な素材を使った感触遊び、タオルで体を拭く、お風呂の時に色々な素材のスポンジを使って自分で体を洗う、などもいいと思います。