(年中クラスの保護者向け)ことばの講座

療育に来られている、年中クラスの保護者の方を対象に、言葉についての講座を行いました。

話の内容は、私が自由に決めていいとのことだったので、いつもの訓練等で保護者の方に話している内容をもとに考えました。

まずは私から、上記のようなプリントを渡し、

  • 年中クラス(4歳頃)になると言葉のどのようなことに気づいてくるのか
  • その頃のお子さんに対して言語訓練では何を行っているのか
  • 自宅で言葉を育てるためにできること、遊びは何がいいか

についてお話しし、後半は質疑応答をしました。

内容の一部を紹介します。

用途の理解:

動作語の理解は2歳頃、表出は3歳頃から増えていきます。4歳頃になると動作語の意味をさらに詳しく考えられるようになります。「切るものはどれ?」という質問に、はさみの絵カードを選んだり、「はさみ」と口頭で答えることができるようになります。言葉というのはそれを使い始める時期と、それを本当に理解して使いこなせる時期には少しずれがあります。4歳頃になると動作語に対して用途という意識を持つようになります。

分類の理解:

例えば「動物はどれ」の質問に答えられるようになります。ただし、お子さんによっては、「動物」と聞くと動物園にいる大きな動物だけが動物だと思っている場合もあります。鳥や猫など小さな動物も、動物なんだと気づかせる言葉がけや工夫も大切です。

「うえ」「まえ」などの位置関係がわかる:

左右は4歳後半と書きましたが、お子さんによっては「右手」「左は?」などよく聞かされているので、「うえ・した」より先に「みぎ・ひだり」を先に覚えるお子さんもいるかもしれません。ここで大事なのが、これらの言葉は相対的な位置関係なので、自分の「まえ」や「うえ」が分かったら、今度は相手の「まえ」や「うえ」を理解できていなければまりません。そうでないと(園や学校などで先生に)言葉で位置を指示された時に混乱してしまいます。まずは、自分の「うえ」「まえ」などがわかってくるといいですね。

助詞を理解し始める:

格助詞(が、を、に、で、等)はもちろん、接続助詞「やっても」「やったけれど」「やったのに」「やりながら」「やったから」も理解し使い始めてきます。接続助詞を使うことによって、物語ることができるようになります。なお、助詞の使い方の誤りは4歳以降も聞かれます。言葉の使い方の誤りについては、大人がさりげなく正しい言い方を聞かせてあげるとよいでしょう。

ぶどうを「ぶ・ど・う」と音を区切って言える:

4歳を過ぎる頃から、単語を構成している個々の音の違いや音の順序に気づくようになります。(これが音韻認識または音韻意識といわれるものです。)

おうちでやってみよう!について:

自宅での遊びとして、まずは1つだけやってみてください。もし、お子さんがやりたがらなかったらルールが難しすぎるか簡単すぎるかのどちらかだと思います。うまくいかなかったら私に相談してください。言語訓練でも同じ遊びをやってみようと思います。
役割交代についてですが、4歳ぐらいのお子さんは、他人に指示されるを嫌がる時期でもあります。一方で、お子さんが指示を出す役割をやってもらうと、嬉々として遊びに乗ってくる場合もあります。お子さんが遊びをリードすることを、まずはご家族の方と一緒にできるといいと思います。

質疑応答では次のようなものが挙がりました。

<質問1>:保護者は「総武線だよ」と教えるのに、子どもは「ちがう、電車だ」と言って譲らない。正しい言葉を教えるにはどうしたらよいでしょう。

<私からの提案>:何をもって総武線なのか、特徴を詳しく説明しながら言葉を教えてあげるといいですね。例えば、「電車の仲間なんだけど、黄色い線が入っているのは総武線っていう電車なんだよ。緑の線が入っているのは山手線という電車なんだよ」など、図鑑などを見ながらじっくりお子さんが納得できるように教えてあげられるといいですね。

<質問2>:発音がはっきりするようになるには、どうしたらよいでしょうか。

<私からの提案>:発音がはっきりしない理由は次のようなものが原因として挙げられます。
1つ目は、唇や舌をうまく動かすことが難しい点です。この場合、意識して自分で唇や舌が動かせるかが大事です。お子さんによっては「舌を出して」と指示しても、舌が下唇より下に出せなかったり、舌を左右に動かす真似をしてもらうと、左には動くけど。右には動かず、頭ごと右に動くお子さんもいます。一番簡単な練習方法として、お風呂に入った時に鏡を見ながら『あいうべ体操』することをお勧めします。
2つ目は、ことばの聞き分けが苦手なことです。音をはっきり聞き分けできていないと、音を言い分ける意識が育ちません。その際、ひらがなを区別することは音を区別する助けにもなります。
3つ目は、自分の言っている言葉が不明瞭である、という認識が低い場合です。発音訓練(構音訓練)は、通常、年長クラスになってから開始します。自分で発音を直そうという意識がないと、訓練の意味がわからず、やる気にならないためです。お子さんが話している様子を、ビデオに撮って見返してもらったりすれば、もしかしたらお子さんも自分の発音が不明瞭であることに気づくかもしれません。

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