脳の機能障害があるので通院をすすめる?

機能性構音障害(発話不明瞭)の訓練に来られているA君のママからこんな相談を受けました。

「最近、チックがでてきたんです。
保育園の先生には、構音障害もチックも、脳の機能障害が原因だと思うので、一度病院で診てもらったほうがいいといわれたのですが、どう思われますか?」

という内容でした。
園の先生はどこの病院を勧めているんだろう?と謎に思いつつも…。

そのお母さまには、次のようなお話しをしました。

脳の機能障害について

これは次の2つが考えられると思います。

(1)脳の部分的な形や大きさの問題

MRIなどで脳を見ると、脳の部分によって発達している(大きい)、又は未熟(小さい)などが特徴として見られる場合があります。脳は部位によって機能が分かれているので、脳の未熟な部分はお子さんの苦手な部分だと考えられます。しかし、それらの特徴を見分けられる医師は稀であるし、しかも、その大きさの違いが分かったところで、脳のどんな機能が低下しているかを断言できる医師はほとんどいません。
ほとんどの医師は、〇〇障害などと診断をする際に、脳のMRIなどはあまり参考にしておらず、お子さんの行動を見て判断しています。

唯一、珍しい医師として、脳の学校 の加藤俊徳先生がいます。この先生は脳のMRIを見て、その人の苦手な部分や得意な部分を判断しています。費用は高いです。この先生は書籍も色々出しているのでそちらも参考にしてみてください。

脳全体の機能が低下していると予想される場合は「知的障害」、
ある特定の部分だけ機能が低下していると予想される場合は「発達障害(ADS、ADHD)」や「学習障害」と診断されるでしょう。
しかし、それを診断したからといって、医師が治療をすることは少なく、大抵は、「どこかで療育したほうがいいよ」と勧めるだけです。ADHDのお子さんの症状を軽減するために、薬を処方することはあります。

脳が未熟であれば、その未熟な部分を使うようにすれば、発達していく可能性はあります。脳の神経細胞が太くなったりするためです。そのために療育があります。睡眠や栄養、運動、環境調整も大事です。

(2)脳に流れる電気信号や伝達物質(ドーパミンやセロトニンなど)の問題

てんかん、チック、場合によっては吃音もこれが関連しているといわれています。
てんかんやチックの場合は、薬が役に立つ場合があります。 薬が脳の異常信号を押さえたり、伝達物質を増やしたり抑制できる場合があるためです。ただし、効果には個人差があります。

機能性構音障害が脳機能に関係するのか?について

機能性構音障害とは、口唇や舌、頬などに明らかな異常が認められないにもかかわらず、5歳ぐらいになっても発音がうまくならない状態をいいます。
もしかするとその原因は(1)が関連しているかもしれません。
脳機能の例えば
・音を認識す機能(「たんぼ」と「かんご」を聞き分けるのが苦手、等)
・口を動かしたり、動かそうとプログラミングする機能(ここが弱いと、食べているときに舌は動くのに、意識して舌を動かすときに上手に動かせなかったりする)

などが影響している可能性もあります。

私がなぜそう思うかというと、脳梗塞になって、上記のような症状(失語症や発語失行といいます)になっている成人の方を見ているためです。

上記の話を伝えると、A君のママは、
・ チックはしばらく様子を見ることにして、なかなか治まらなかったり、
  ひどくなるようであれば受診します
・ 構音障害については、自宅でも練習することが大切なんですね
とおっしゃっていました。

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